ワールドの加入者数が増えているらしい。
特に海外からの視聴者数が伸びは顕著で、新規加入者の約半数は海外在住の方と聞く。
かつては限定的だった海外実況席も、今ではほぼ毎試合のように設置されている。おそらく、その流れは今も続いていると思う。
カメラの向こうの視聴者よりのプロレス
さて、これだけワールドの加入者数が増えてくると、プロレスそのものだってカメラの向こうの視聴者寄りになるのは当然のこと。東京ドーム大会だってかなりのカメラが使われていた。
では、プロレスが視聴者寄りになるとどうなるのだろうか?
プロレスが、カメラの向こうの視聴者寄りになると、会場で生観戦するお客様が、エキストラに限りなく近づいていく。
エキストラとは、テレビの収録のために集められたお客さんのことで、基本的に無料で収録を見ることができる。
しかし、無料の代わりにいろいろな制約がついてくる。
具体的には、どうなるのだろうか?
座席を選ぶ自由の喪失
お客様は見る座席を自由に選ぶことができる。
リングサイド、指定席などの座種は選べるし、チケットガイドであれば購入前に座席を確認することもできる。会場で買うと座席表から選択することだってできる。
しかし、エキストラになるとそうはいかない。
座席の選択は興行主、もしくは演出側にある。どのような層をリングサイドに座らせるかを興行主側が決められるようになるのだ。
例えば、若い女性層を多く見せたいのならば、カメラに映る座席には若い女性客層を座らせる。カメラの向こうの視聴者には、会場全体が女性客ばかりのように見えるだろう。逆もまた然りだ。
試合を見に行く自由の喪失
次は観客の選別だ!
まずはこれを見てほしい。新日本プロレスを放送する「テレビ朝日」のエキストラ募集のページだ。
見ての通り、そのほとんどで応募者の条件が設けられている。
例えば「対象は小学4年生から小学6年生(男女問わず)」や「20〜30歳の女性」といったようにだ。
理由は上記と同じだが、違うのは募集段階でお客様を選別していることだ。番組によっては事前に写真の提出を求めているものもある。
つまり、募集段階でふるいにかけられているということだ。このふるいに漏れた場合、会場での観戦は不可能となる。
プロレスを楽しむ自由の喪失
最後は演技指導だ。
これまでのプロレスは、会場で好きなように楽しめばよかったが、エキストラてはそうもいかない。
一挙一投足がとまではいかないまでも、ある範囲での演技を求められるようになる。例えば、試合開始10分を経過した辺りから声援を送ってくれとか、20分を経過した辺りから立って見てくれというようにだ。
中にはプロ観客のような人もいるだろう。これはアルバイトのような人たちのことで、率先して他のエキストラを煽ったり独自の行動をとってより盛り上がっているように見せたりする役目が与えられている。
なぜこういったことをするのか?
それは興行主側の望む演出のためだ。とにかく、演技指導が入ると好きにプロレスを見れなくなる。もちろん、勝手なヤジなどご法度だ。
それでも、あなたは……
さて、こうやってみると会場に見る人にとってはよくないことばかりのように思える。
だけど、一つだけよいことがある。
それは「タダで見れるようになる」ことだ。
なぜなら、上記の制約はすべて興行主側の都合によるものだ。だから、お金を払ってまでそれに付き合う必要はない。現に上記のアドレスであげたエキストラ募集はそのほとんどが無料のはずだ。
ただし、上記の条件をすべて受け入れた場合のみで、自由な座席を選べず、楽しみ方まで指導され、さらには見に行けない興行まで増える。
それでも、あなたはプロレスを見に行きますか?