アメリカの組織犯罪研究者ドナルド・R・クレッシー氏が体系化した考え方に、「不正のトライアングル」というものがあります。
この考え方によると、何か不正が起きるときは、必ずある3つの条件が揃う必要があるそうです。
不正のトライアングル
3つの条件とはは下記の通りです。
- 動機
- 機会
- 正当化
この3つの条件が揃って、初めて不正は行われるのです。
会社のお金が横領する理由
これを分かりやすく、会社のお金を横領すると仮定して説明しましょう。
動機
会社のお金を横領する動機といえば、間違いなくお金が欲しいから。
手に入れたいものがあったり、借金を抱えてしまったりといった理由は様々ですが、お金欲しいから横領を企てるのです。
機会
次に機会です。
会社のお金を横領するには、お金に手を出せる立場にいなければいけません。
経理の責任者だったり、会計を任されていたりと様々ですが、会社のお金に近いポジションにいる人が横領を企てるのです。
正当化
最後の正当化は、自分に対する言い訳と言い替えても良いでしょう。
会社にはこんなにお金があるんだから、少しくらいなら横領しても分からないだろうとか、すぐに返すから問題ないとか、人が悪事を働くときは、自分の悪事を正当化する理由を欲します。
正当化して、罪悪感が薄まったときに横領を企てるのです。
今回は、横領について例を挙げましたが、このように不正は3つの条件が揃って初めて行われるもの。
それでは、この3つの条件を踏まえて、なぜプロレスラーは反則攻撃をするのかを考えてみましょう。
なぜプロレスラーは反則攻撃をするのか。
大前提として、プロレスラーだって、基本的には正々堂々と闘いたいと思っているはずです。
けれども、反則攻撃を行う選手は後を絶ちません。
なぜでしょう?
上記で説明した「不正のトライアングル」を使って、考えてみます。
動機
プロレスラーが反則攻撃をするときの動機といえば、勝ちたいからに他なりません。
もし、試合に勝っても負けてもどっちでもいいと思っているのなら、反則攻撃なんかしようと思わないはずです。
試合に勝ちたいからこそ、ついつい反則攻撃に手を伸ばすのです。
機会
次に機会です。
プロレスでは反則攻撃は認められてないため、普通にやるとレフェリーにばれて、すぐに反則負けを宣告されてしまいます。
なので、セコンドが引きつけたり失神していたり、たまたまレフェリーが選手の動きに注視できていないという機会が必要です。
故意か偶然か、反則攻撃がばれない機会が作り出された時に、ついつい反則攻撃に手を伸ばすのです。
正当化
ここまで来れば、プロレスラーが反則攻撃を実行するまでもう少しです。
あとは反則攻撃を正当化するだけの理由だけが必要です。
観客が盛り上がる。
ルールで5秒以内なら認められている。
というように、反則攻撃を正当化する理由を見つけます。
そして、プロレスラーは反則攻撃に手を伸ばすのです。
今日もプロレスラーは反則攻撃をする
このようにして、プロレスラーはリング上で反則攻撃が行います。
プロレスを見ていると、悪役プロレスラーの反則攻撃に腹を立てたことは、一度や二度ではないでしょう。
しかし、彼らだって、反則攻撃をしたくてしてるわけではありません。
全てはここで紹介した「不正のトライアングル」が揃ったから反則攻撃をしているだけ。
イス攻撃ひとつをとっても、反則攻撃を行うプロレスラーの中ではこのような葛藤があって実行されているのです。
プロレスラーに反則攻撃を止めさせる方法
逆言うと、この「不正のトライアングル」をどれか一つでも取り除いてあげると、プロレスラーは反則攻撃を行わないようになります。
プロレスには反則攻撃がつきものだって考え方もありますが、やっぱり反則攻撃はどこまでいっても反則です。
健全なプロレス界を守るため、「不正のトライアングル」のうち、取り除けるものがないか考えてみましょう。
動機
プロレスラーが反則攻撃をするのは「勝ちたいとう動機があるから」。
それでは、この動機を取り除けば反則攻撃はなくなります。
しかし、プロレスとは勝敗を競うもの。
現実的に考えて、動機を取り除くのは難しいようです。
機会
プロレスラーが反則攻撃をするのは「反則攻撃ができる機会を与えられたから」。
それでは、レフェリーの目をごまかせないよう、二人三人体勢してみてはいかがでしょう。
写真判定、ビデオ判定を導入しても良いでしょう。
しかし、一つの試合にレフェリーを一人も二人も雇えるような裕福な団体はありません。
現実的に考えて、機会を取り除くのは難しいようです。
正当化
プロレスラーが反則攻撃をするのは「反則攻撃を正当化できる理由があるから」。
それでは、絶対に正当化できないように、ルールをガチガチに固めてみてはいかがでしょう。
レフェリーが見てようと見てなかろうと、一発退場にしても良いでしょう。
しかし、反則攻撃一つで試合が即終わってしまっては、観客のフラストレーションが溜まります。
もしかすると、暴動だって起きてしまうかもしれません。
現実的に考えて、正当化を取り除くのは難しいようです。
不正な結末
このように、プロレスから「不正のトライアングル」を取り除くのは簡単ではないようです。
そもそも、反則攻撃も含めたのがプロレス。
反則攻撃だってプロレスを形成する重要なパーツの一つです。
なくなってしまったら、プロレスがとても味気ないものになってしまうでしょう。
というわけで、プロレスには反則攻撃はつきものだって結論が、今日の結論です。