人間は2つのタイプに分けられます。外向型の人間と内向型の人間です。
外向型人間は、人と接するのが得意で、常に刺激を求めるのが特徴。彼らは太陽や灯台のように、自らが輝くことで周囲を明るく照らします。
新日本プロレスでいえば、棚橋弘至選手がこのタイプに当たります。
内向型人間は、自分の時間を大切にし、一つのことに集中するのが特徴。彼らはカンテラのように、自分の中に光を灯し内部を明るく照らします。
新日本プロレスでいえば、内藤哲也選手がこのタイプに当たります。
外向型人間が中心の世の中
世の中の4人に3人は、外向型人間と言われており、一般的にも外向型的な考えが正しいとされています。
トップに立つのは常に外向型人間。新日本プロレスでも、活躍するのは外向型の選手が中心です。IWGPヘビー級王者も、初代からしてアントニオ猪木氏ですし、少し前までは棚橋弘至選手が王者でした。
内藤哲也選手は、棚橋弘至選手の次に新日本プロレスを担う選手として、注目されていました。IWGPヘビー級王者となり、新日本プロレスを支える。誰もがそう信じて疑いませんでした。
しかし、実際に、棚橋弘至選手の次にIWGPヘビー級王者となったのは、後輩のオカダ・カズチカ選手です。彼もまた、外向型人間でした。
内藤哲也選手は、オカダ・カズチカ選手に追い抜かれ、棚橋弘至選手の次の王者になることはできませんでした。これは、内藤哲也選手が究極の内向型人間だったことが原因です。
内向型人間のため、外向型人間が中心の、新日本プロレスのIWGPヘビー級王者にはなれなかったのです。
外向型人間である、棚橋弘仕選手やオカダ・カズチカ選手は、周囲を明るく照らす選手です。プロレス以外のメディアに進出し、プロレスの魅力をアピールしました。
その結果、新日本プロレスに興味がなかった、女性ファンや子どものファンを獲得に成功。男性中心であったプロレスの会場に、新たなファン層を呼び込み、プロレス人気を拡大していきます。
内向型人間が評価されるには
しかし、ファン層の拡大は、従来のファンに居心地の悪さをもたらします。新しいファンが増えるにつれ、自分たちはプロレスを見るべきではないのかと、ちょっとした疎外感を感じるようになりました。
そこで求められたのが、内藤哲也選手です。
内向型人間である、内藤哲也選手は、新日本プロレスの内部を照らす選手です。周囲を明るく照らしていた光を、内部に戻し、従来のファンに居心地の良い空間を提供していきます。疎外感を感じていた従来のファンは、居心地の良さを取り戻していきました。
内藤哲也選手が素晴らしいのは、新しいファン層を興味を削ぐことなく、従来のファン層を惹きつけたこと。徐々に、新しい層も、プロレスの持つ楽しみに惹きつけられるようになりました。
制御不能になる前の内藤哲也選手は、内向型人間でありながら、外向型人間のように振る舞っていました。その結果が、各地での大ブーイングです。持って生まれた性質と、違う性質を演じようとしても、うまくいくはずがないのです。
内向型人間は、ひとつのことを集中的に照らす能力を持っています。その力を発揮すれば、外向型人間以上の爆発力を生み出しました。
内向型を強みにする
内藤哲也選手は、制御不能化することで、本来の性質である内向型的な魅力を発揮し、ファンの支持を得ることができました。
結果、これまで外向型人間こそがIWGPヘビー級王者にふさわしいという価値観も覆し、内向型のIWGPヘビー級王者として地位を築きます。
内藤哲也選手が注目されたのは、外向型人間がトップを占めていた時代の反動です。
今も、新日本プロレスは、外向型人間をトップに立てようとしていますが上手くはいっていないようです。
それはそうでしょう。ファンは今、内向型人間を求めているからです。外向型人間を対抗させればさせるほど、対極にいる内藤哲也選手は、内なる灯りを強くします。
内向型人間に対抗できるのは、同じ内向型人間です。内藤哲也選手に並ぶ、内向型人間が現れない限り、内藤哲也選手の人気は続くでしょう。