「アイスリボン」のジュリアが、「スターダム」の後楽園ホール大会に現れた。
ジュリアは、「この輝くスターダムのリングでジュリアの熱い試合をお見せしたいです」と挨拶。これまで所属していたアイスリボンを退団し、スターダムへの入団を発表したのである。
しかし、物事は簡単に動いてはいない様子。なぜなら、退団から入団までの期間が、あまりにも短いからだ。
突然の発表となりますが10月13日付けで、アイスリボンを退団しました。
選手の皆様、スタッフの皆様、ファンの皆様の暖かいご指導ご支援を頂き、ここまで成長することが出来ましたことを、この場をお借りしまして、お礼申し上げます。
私はこれから新しい未来に向かって、まい進して行きます! pic.twitter.com/yd2ADcgWcs
— ジュリア (@giulia0221g) October 13, 2019
アイスリボンの退団を報じたのは、10月14日の午前8時52分、スターダム入団を発表したのは、その日の昼の後楽園ホール大会だ。
つまり、アイスリボン退団から、わずか数時間後にライバル団体スターダムへの入団を発表したのである。
ジュリアとは
女子プロレスを見ない人の中には、ジュリアを知らない人も多いだろう。ここで簡単にジュリアのプロフィールを紹介する。
リングネーム:ジュリア
本名:松戸グロリア英美
身長:162cm
体重:55kg
誕生日:1994年2月21日(25歳)
出身地:ロンドン
デビュー:2017年10月29日
他:イタリアと日本のハーフ
デビューは女子プロレス団体のアイスリボンだ。
まだ、デビュー戦から2年に満たないながらも、恵まれた体格、そしてルックス、さらには、以前はキャバクラ店に勤務していた経験があり、話題性も十分だ。
早い時期から活躍し、アイスリボンの3大タイトル、インターナショナルリボンタッグ王座にもなった(パートナーはテキーラ沙弥)。
そして今週の週プロでジュリアを取り上げて頂きました!
ジュリア酔っ払ってたんじゃないの?と思うほどビッグな夢を、真剣に語っておきました!
令和の始めに読んでおいてください!!#iceribbon#週プロ pic.twitter.com/15ofDn3ta0— ジュリア (@giulia0221g) May 3, 2019
デビュー直後には、地上波で密着取材だって受けたことがある。つまり、逸材中の逸材の選手なのである。
ジュリアは円満移籍なのか?
時系列的には、退団発表が先で、入団発表が後になる。
ただし、あまりに早い退団・入団は、少しばかり問題が残されているようである。
問題のひとつは、アイスリボンを正式に退団していないことだ。
これについては、アイスリボンの運営を行う、ネオプラス佐藤肇代表取締役のツイートを見てほしい。
昨日ジュリアから退団の申し出があり会って話をしましたが、沙弥の引退延期や決まっている参戦もあり退団時期について調整しようと話をしていた中でのツィートに混乱しています。参戦予定等を確認、調整して改めて公式にリリースいたします。
— 佐藤 肇 (@neoplus00) October 14, 2019
弊社との雇用契約継続(社員状態)のままで、他団体に入団ってどういう事なんだろうか?
どんな道だろうと笑顔で送りだせる方法はあるのに、嘘までついて何故強行な手段をするのだろうか— 佐藤 肇 (@neoplus00) October 14, 2019
佐藤代表によると、ジュリアから退団の申し入れがあったものの、正式な受理はしていないらしい。
申し入れがあったのは退団発表を行った前日のこと。デビュー前の若手ならまだしも、ジュリアほどの実績のあるレスラーが退団を申し入れたところで、はいそうですかと受理するわけにはいかないだろう。
いったんは、保留して詳細は後日に譲ったようである。
それにも関わらず、翌日にジュリアは、スターダム後楽園ホール大会に訪れ、リング上から入団発表を行ったのである。
これに対し、スターダムの小川社長は次のように述べている。
(アイスリボンとジュリアの間の)契約は『ない』と聞きました。うちは来るもの拒まず、去る者は追わずですから」
つまり、ジュリアは、アイスリボンとの間に問題はないと断言したそうだ。それを受けて、スターダムのロッシー小川社長はリングに上がることを許可したということになる。
しかし、アイスリボン側の佐藤代表は、退団を許可していないと主張する。このあたりは、デリケートな問題なので深くは触れない。
ただ、両団体の間にしこりを残したのは間違いないだろう。
なぜ、このタイミングで発表した?
ジュリアの退団・入団は、何も今のタイミングでなくとも良いはずだ。少なくとも、正式な退団手続きを行ってからの入団ならば、大きな問題にはならなかっただろう。
ではなぜ、このタイミングで発表したのか?
ひとつは、ジュリアのタッグパートナーである、テキーラ沙弥の引退にある。
ジュリアはアイスリボンで正式タッグを組んでいる。いや、組んでいたというべきだろうか、いやいや、組んでいるで良いはずだ。
ベルトとりました!!!
沙弥さんとだからチャンピオンになれた!
アジュレボからとったベルトの価値を上げていき、アイスリボンのチャンピオンという名に恥じぬよう、今後とも精進して参ります!皆さま応援本当にありがとうございました。
ここからがスタートだ!#iceribbon #バーニングロウ pic.twitter.com/xcigbFHYIb— ジュリア (@giulia0221g) July 15, 2019
微妙な言い回しになったのは、日本に重大な被害をもたらした、大型台風19号に理由の一貫がある。
テキーラ沙弥とは?
まずは簡単にプロフィールを紹介。
テキーラ沙弥は、デビューこそ遅かったものの、キュートなルックスと、テキーラのソムリエ最上級「グラン・マエストロ・デ・テキーラ」資格を持つという個性から、アイスリボンで活躍する(した)選手だ。
レスラーとなって3年の今年、ジュリアをパートナーに、インターナショナルリボンタッグ王座となった。
テキーラ沙弥の引退
残念ながらタッグのベルトを落とした後の9月23日、テキーラ沙弥は突然の引退を発表した。
理由は「最初から3年で引退として決めていた」からだ(正式には3年半続けた)。
引退試合は10月12日(土)後楽園ホール大会となった。しかし、その日は台風19号が関東地方を直撃。大会は中止となったため、引退は延期となった。
明日のアイスリボン後楽園ホール大会は台風のため中止とさせていただきます!申し訳ございません!
そして、テキーラ沙弥の引退につきましてはこれから考えるのでしばしお待ちを!!#iceribbon #テキーラ沙弥の1310日
— テキーラ沙弥☆10.12女子プロレス引退 (@tequilaSAYA) October 11, 2019
その後、正式な引退試合の日程は発表されていない。
ジュリアの退団から入団発表までの敬意
一連の流れを、振り返ってみよう。
- 9/23(日)ジュリアのパートナーであるテキーラ沙弥が引退(10/12)を発表する
- 10/12(土)テキーラ沙弥の引退試合が台風により延期となる
- 10/14(月)朝、ジュリアがツイッター上でアイスリボン退団を発表する
- 10/14(月)午後、ジュリアがスターダムのリングに登場した
このようになる。
退団は、受理されたいた?
では、「もしも…」になるが、もしも、テキーラ沙弥の引退試合が予定通り行われていたならどうであろう?
ジュリアの退団は、アイスリボンに受理されていた?
ここは、「もしも」の話なのでなんとも言えない。
ただ、引退試合として組まれていた、テキーラ沙弥&ジュリアvs松屋うの&トトロさつきのカードが宙に浮いたままである。これについても発表はいまのところ行われていない。
ただし、テキーラ沙弥からは、次のようなツイートが残された。
信じてたのになぁ
— テキーラ沙弥☆10.12女子プロレス引退 (@tequilaSAYA) October 14, 2019
テキーラ沙弥のツイートは、何を意味するのかが気になる。
スターダムの補強
2019年に入り、スターダムは他団体から多くの選手をリングに上げた。
- 4月 W-1から木村花か移籍
- 5月 センダイガールズからアンドラス宮城(カサンドラ宮城)が参戦
- 7月 AEWから里歩(同月に我闘雲舞を退団したばかり)参戦
- 10月 アイスリボンからジュリアが入団???
見ての通り、どの選手も、主力級の選手ばかりである。そして、木村花以外は、それまでスターダムとほぼ関わりのなかった選手なのだ。
新しいが来た……
狙うか〜………???でも
牙抜かれてたら興味なし笑#stardom pic.twitter.com/ExMg9R5y9V— アンドラス宮城 Miyagi Andras (@MiyagiAndras) October 14, 2019
このうち、アンドラス宮城は早くもメッセージを送っている。
ちなみに、8月には大型新人・林下詩美がデビューし、前年11月には星輝ありさが6年半ぶりに復帰した。星輝ありさは、ワンダー・オブ・スターダム王者として、この日の大会を締めた。
受け入れたスターダムのロッシー小川選手は、スターダムを「来るもの拒まず、去る者は追わず」としている。
事実、2017年には宝城カイリが、2018年には紫雷イオといった所属が退団し、WWEへ入団を果たしている。2017年には元シングル王者の美闘陽子が引退した。
スターダムにとって痛すぎる退団のはずだが、引き止めは一切行わなかったらしい。
ジュリアの退団について
まとめよう。
現時点で分かっているのは、ジュリアがスターダムのリングで入団の挨拶を行ったことのみである。
正式な入団が許可されるか分からないし、それ以前に退団が受理されるかは分からない。ただし、仮に許可(受理)されなかったとして、「はい、そうでしたか」で終わる問題ではない。両団体に、何かしらの遺恨が残るからだ。
まだまだ、問題は残されている、続報が待ち遠しい。
ただのファンである僕の立場から
最後になるが、このブログの筆者、つまりただのプロレスファンの一人である僕の意見を述べたい。これは完全に蛇足になるので、「お前の言うことなんて、知らねぇよ」って人は読み飛ばしてほしい。
何度かジュリアの試合は見たが、驚くのはその天性の才能と努力。身長が高く、手足が長い。小型化が著しい女子プロレスでこれは何よりの宝。さらに前職(キャバクラ)の経験がそうさせるのか、ジュリアは人に見られる能力に長けている。ファンが何を望んで、何をすべきなのかを肌で知っている。そして、それに答えるべく努力だって惜しんでいないように思う。
つまりは、プロレス界のトップに立てるレスラーだ。
そんなジュリアが、戦場を変えるのならば、それは見てみたい。今まで戦ったことのない選手と戦い、新しい名勝負を紡ぐ。それは見てみたい。なんだったら、また元いた団体に戻って戦う姿って見てみたい。ただのファンだから、騒動うんぬんは別にして、ただ見たいだけである。
#バーニングロウ
今回はなんとカラー4ページ!ありがとうございます!サマーバーニング!我々水着です!
明日発売♪(´ε` )#iceribbon #週プロ #プロレス pic.twitter.com/QcDLVL7Pgp— ジュリア (@giulia0221g) August 20, 2019
週刊プロレス2027号には、ジュリアとテキーラ沙弥のインタビューが掲載された。
(現在のファンに加え)若い世代とか女性にもアイス(リボン)を広めたいんです。
週刊プロレス2017号バーニングサマーより
ジュリアは「アイスリボンを広めたい」と言った。ならば、僕は、この言葉の続きを信じるだけだ。
2019年も終わりに近づくこの日。女子プロレス界にとんでもない爆弾が落とされた。この爆弾は、女子プロレス界をどのように動かすのだろうか。
楽しみ!
である。
スターダム公式ツイッターでも、入団と刻まれた。
各位様
ジュリア選手が昨日のスターダム後楽園ホール大会に来場し、リング上で挨拶を行った事について、皆様の混乱を招き、大変申し訳ございません。
今後ジュリア選手には団体側に改めて話し合いを行ってもらい、円満解決となるよう話合いが出来ればと考えております。
株式会社スターダム pic.twitter.com/dOiFRGG1k0
— スターダム/STARDOM (@wwr_stardom) October 15, 2019
しかし、翌日のツイッターでは、謝罪に転じる。これは何を意味するのだろうか?