ももクロのライブに、ザ・グレート・ムタが出た。
これはもう燦々としたした事実で、ももクロのライブはメットライフドームで2日間行われていて、その2日間ともにムタは出た。けれど、ネットで調べてみても詳細は出てこない。万能と言われるインターネットも限界はあるのだろうか。
ということで、ももクロのライブに2日間とも参戦した私が、ザ・グレート・ムタのレポートをお届けします。たぶん、世界で一番くわしいです。
ももクロマニアとは
今回、ザ・グレート・ムタが降臨したのは、プロレスのリングではなく、ももクロのライブ「MomocloMania2019 -ROAD TO 2020- 史上最大のプレ開会式(以下、ももクロマニア)」の舞台。
「ももクロマニア」とは、ももいろクローバーZが夏に行うライブのことで、2015年が静岡エコパスタジアム、2016年が日産スタジアム、2017年が味の素スタジアム、2018年が千葉マリンスタジアム、2019年がメットライフドーム(西武ドーム)と、スタジアムクラスの毎年夏に会場で行われています。ちょっとだけ正確に言うと、ライブのタイトルは夏ごとに違いますが気にしなくてOKです。
夏のライブは、数あるももクロのライブの中でも最大級のライブで、まったくお世辞抜きで、北は北海道、南は沖縄、さらには海外からも多くのファンが、ひょひょひょひょひょいと集まってくるのです。
その、最大級のライブに、あのプロレス界のスーパーレジェンド、ザ・グレート・ムタが降臨したのです。
ザ・グレート・ムタとは?
繰り返しますが、ムタといえばプロレス界のスーパーレジェンドです。それゆえに、降臨するときは何かしらの意味があるはずです。
新日本プロレスが、2019年4月6日にアメリカで行なったマジソン・スクエア・ガーデン(MSG)大会にも降臨しました。これは、新日本プロレスが、プロレスの聖地MSGで行なった初めての大会で、世界戦略を目指す新日本プロレスにとって絶対に失敗できない大会でした。
だから新日本プロレスは、アメリカで知名度抜群の、ザ・グレート・ムタを降臨させたのです。その前にムタが新日本プロレスに降臨したのなんで、もういつだか全く思い出せないので調べてもいない。とにかくムタが降臨するのはそれくらいにレアなこと。間違っても、フラっとムタの試合が組まれるなんてことはないのです。
つまり、ザ・グレート・ムタが、ももクロのライブに降臨した以上、何かしらの意味があるはずです
ムタは、いつ出たの?
ムタが登場したのは、開始から60分が過ぎた頃。西武ドームに帳が落ちてきて、ライブも良い感じに暖まった頃です。ももクロの4人は、休憩がてら一旦舞台を降りました。今回のライブは「オリンピックを勝手に応援」がテーマです。我が国、日本をアピールするため、伝統文化を紹介する演者が舞台に上がります。
最初に登場したのは、能の演者さん。和の音楽に合わせて舞います。そして、徐々に音楽が荘厳なものに変わります。あれ、でもこの音楽って、どっかで聞いたことあるぞ???
ザ・グレート・ムタの入場曲じゃん。
周りを見ると、ごく数人がざわついているようです。そりゃそうだ、いくら40代50代でも、テーマ曲だけでムタと分かるももクロファンは少ないはず。ただし、テーマ曲がなったといって、必ずムタが出てくるとは限りません。ほら、物真似芸人の神無月さんだったりね。このパターンはすでに前例があるだけに油断はてきません。
ゆっくりと舞台に男が現れます。
男は身長188センチ体重110キロくらい、体格はムタと一致する…って、ごめん嘘ついた。舞台からは距離があるので、さすがにそこまでは分かりません。でも、遠目ではムタっぽい。男の登場に、観客は総立ちって、さっきからずっと総立ちだったけどね。
ゆっくりと男が頭巾に手をかける。
中から現れたのは……。
ムタだ!
頭巾を取った男は、間違いなくムタでした。プロレス界のスーパーレジェンド、ザ・グレート・ムタがメットライフスタジアム(西武ドーム)に降臨です。
ゲストアナウンサーの清野さんが解説を入れます。「武藤敬司は、2011年のももクロの中野サンプラザでのライブで登場したことがあります…」みたいなことを言っていた気がします。ごめん、このへんはちょっと覚えてないです。
ムタが、喉に指をかけるお馴染みのポーズをとります。
毒霧だ!
ムタが天に向かって毒霧を一閃すると、同時にももクロの4人が現れ、次の曲のイントロが始まります。
ムタは何をしたの?
次に始まったのは『ニッポン笑顔百景』です。
これは落語をテーマにした作品で、脳や歌舞伎と同じく日本の伝統芸能を表現する曲です。歌い出しは「じゅげむ じゅげむ ごこうのすりきれ…」だし、途中で小咄も入ります。
『ねずみの娘が嫁いですぐに帰ってきた。理由は姑さんにあるようだが、とても優しくしてくれていた様子。じゃ、なんで帰ってきたのかというと……』
続きは実際に聞いてみてください。
アップテンポな曲なので、ももクロちゃんは歌いながら舞台を走り回るんですが、それをムタが追いかけながら歌うという展開になります。まぁ、簡単にいうと「トムとジェリー」みたいな感じ。ももクロちゃんたちが順番にムタに近寄ってはちょっかい出しては逃げるの繰り返し。遠くから見てるとムタさんが「ウガーッ!」とか言ってそうに見えました。
曲が終わると、ムタさんもフェードアウト。その後、しばらく出てくることはありませんでした。
その後に出てきたのはアンコール後の出演者紹介。バンドメンバー紹介の片隅で、小さくムタさんが紹介されていました。たぶん、小さなプロレスLOVEポーズしてた。プロレスを知らない人は、『CHAI☆MAXX』だと思ったかも知んない。で、出番終了~。
ムタは何しに来たの?
ここまで読んだ、ほとんどのプロレスファンはこのように思うでしょう。
ムタって、何しにきたの?
結論から申し上げましょう。何もしていません。
出てきて、ウロウロして、毒霧吹いて帰っただけです。ツイッターを見ると、次のような声が見られます。
ムタのムダ使いだ!
世界一贅沢なムタの使い方。
ムタ、飯塚さん枠だったな。
まさしくその通り。最初のほうに、スーパーレジェンド、ザ・グレート・ムタが降臨する以上、何がが起こるなんて書きましたが、何も起こりませんでした。次の開催地を発表しないし、技を出すこともしない。起こったことと言えば、中年ファンが沸いたくらいです。中年ファンは、ライブ後の飲み会で、若いファンにマウントかませたことでしょう。
ムタは出る必要なかったのでは?
「それって、ムタを軽く使われただけなんじゃないの?そんなだったら、出る必要なかったんじゃないの?」
このように思う人もいるでしょう。
でも、そうじゃありません!あの空間を演出するのに、ムタは必要不可欠な存在だったのです。ももクロ夏のライブは、基本ゴチャ混ぜがテーマです。かつてはステージ上に巨大な神社が造られたり、日本中の祭りが集まったりしたこともあります。ここ最近は「スポーツとの融合」がテーマで、昨年はライブ会場でオリンピック競技が行われ、今年はハーフマラソンが行われました。
ムタの毒霧を号令に『ニッポン笑顔百景』の曲が始まり、同じステージで、元宝塚星組トップ娘役の妃海風さんが白い扇子を持って踊り、チアリーディングが空中に飛び、日本舞踏が舞い中でのももクロの歌唱するというトンデモ異空間を演出。この空間で、他の演者に負けないだけの存在を保つのは、ムタだけだったのです。さらにこのカオスな空間でも、ムタは目立っていた。プロレスひいきなのを差し引いたとしても目立っていました、たぶん。
この続きはあるの?
プロレス界隈には、貸し借りというものがあります(そっちのリングに出たんだから、こっちのリングに出てよってやつ)。ムタがももクロのライブに出た以上、ももクロがプロレスのリングに上がるのでしょうか?
これに関してはなんとも……。
貸し借りでいうと、2011年の武藤時代の全日本プロレス両国大会にももクロは出ています。ただし、両国大会は、その前にももクロのライブに武藤さんが出たときの恩返しだったと考えると、この先があるかもしれません。ムタがももクロのライブに出たから、ムタの試合のときはももクロが駆けつける、なんてことは大いにありえます。
現状、ムタの次の試合日程については未定。けれど、武藤さんの本格復帰が決まったことで、ムタの試合もどこかで行われると推測します。