圧倒的な才能の前には、努力は意味を持たないのかもしれません。
今回は、圧倒的な才能を持つ二つの世代に挟まれながら、決して腐ることなく努力を続け、立派なメインイベンターとなったプロレスラーについて紹介します。
才能の前に、努力は意味を持たない
ある日、体の構造が全く違う宇宙人がやってきて、地球に住み着いたとします。
しばらくすると、宇宙人たちも市民権を得るようになり、オリンピックや国体なんかに出場するようになるでしょう。
だけどその宇宙人達は、子どもでも1000キロくらいの重さのバーベルを持ち上げる才能を持っていたとしたら、これはもう地球人ではまともに太刀打ちすることはできません。
そうなると、オリンピックや国体の上位を宇宙人が占め、地球人は出場すらできなくなってしまいます。
そうなると、地球人は誰も努力をしなくなるでしょう。
誰だって努力は報われてほしいと思っていますが、実際に報われるかは別の話。
ここまで圧倒的に才能に差があると、努力だけではどうにもならないからです。
それでも努力して宇宙人を打ち負かせなんて言うやつは、よっぽどの無神経。
なんだったら、おまえが努力して、宇宙人より1000キロのバーベル持ち上げてみろよという話です。
圧倒的な才能の前には、努力は意味を持たないのです。
二つの圧倒的な才能
新日本プロレスには、二つの圧倒的な才能に挟まれたレスラーがいます。
内藤哲也選手です。
1つ目の圧倒的な才能は、内藤哲也選手が憧れ、プロレスに入るきっかけとなった、武藤敬司選手です。
内藤哲也選手は、武藤敬司選手と同じ新日本プロレスに入団し、恵まれた体格とは言えないまでも、努力を重ねてきました。
途中、武藤敬司選手の退団なんかもありましたが、ようやくG1クライマックスで優勝し、IWGPヘビー級のベルトに挑戦できるくらになりました。
そこで、現れたのが、2つ目の圧倒的な才能は、オカダ・カズチカ選手です。
オカダ・カズチカは瞬く間に、IWGPヘビー級のベルトを奪い、新日本プロレスのトップへと駆け上がりました。
同時にそれは、内藤哲也選手が掴みかけた、新日本プロレスのトップから転げ落ちる瞬間でもありました。
普通の人間なら、ふて腐れて努力するのを止めてしまったかもしれません。
もちろん、内藤哲也選手もふて腐れてはいたと思います。
しかし、内藤哲也選手はふて腐れても、努力することを止めませんでした。
さらに、ふて腐れるという負のエネルギーを最大限に活用し、制御不能へとおもいっきり振り切って変貌を遂げました。
振り切って変貌を遂げたことで、それまで内藤哲也選手にブーイングを飛ばしてきた観客を味方につけることに成功。
ひと際、強烈なブーイングを飛ばしていた大阪の観客さえも、内藤哲也選手に声援を飛ばすようになりました。
内藤哲也選手の努力が、圧倒的才能を上回った瞬間です。
努力は必ず意味を持つ
圧倒的才能を持つものを前にして、同じように張り合うと、無理が生じてしまいます。
新日本プロレスのトップは、武藤敬司選手やオカダ・カズチカ選手のような圧倒的才能を持つ選手だけがなれるのではありません。
内藤哲也選手のように、違う方向に振り切ってトップに立つこともできるのです。
圧倒的な才能の前を、努力が覆すからプロレスはおもしろい。